ライオン誌日本語版2024年夏号

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- "奉仕活動が
いかに大きな力を持つのか、
ライオンズがいかに重要な存在なのか
が理解できました"
奉仕に命を吹き込む
「ブラジルは世界の 肺 です」。ファブリシオ・オ
リベイラに、彼の母国について尋ねたら、
こんな
答えが返ってくるだろう。緑に覆われた大地と、
それを縁取るターコイズ色の海岸線。その中の
小さな町で、起業家精神旺盛な布生地商の息
子として、
ファブリシオは生まれた。
18歳の頃には、すでにこの家族経営の商店の一員とし
て、平日は勉学に励みつつ、週末は商売のため各地を
駆け回った。若い時から常に結果重視だったというファ
ブリシオ。実業家として絶好調の22歳の時に、アマリレ
スと結婚。二人が育ったカトレドホシャは四季のない熱
帯気候だが、
ファブリシオは全天候型、オールラウンド
な男だった。
ビジネスマンとしては、数々の取引を成功さ
せ、前途洋々。市民としても、複数の公職に任命を受け
るほどの成功を収める。
しかし、何かが物足りなかった。
そんな彼に転機が訪れたのは、1985年のある夜だ。
当時ファブリシオとアマリレスは、週末ごとにさまざま社
交行事のため集まる友人グループの一員だった。メンバ
ー数人がすでにライオンズクラブの会員になっており、
ほどなくオリベイラ夫妻にも入会の誘いがあった。断る
ことはとてもできなかった、
とファブリシオは言う。
「親しい友人でしたから。それに、
ライオンズには特別な
何かがあると感じました。お世話になった地域社会に恩
返しをするチャンスかもしれないと」
ファブリシオ・オリベイラとその夫人をライオンズに出会
わせたのは、
ほんの一度のシンプルな誘いだった。
「こうしてライオンになったことが、すべての始まりでし
た」
とファブリシオは振り返る。
招きに応えた。社会奉仕への決意を胸に動き出した。そ
していよいよ、小さな村カトレドホシャの若者が、
それま
での人生で学んだことを、新たな歩みに活かす時が来
た。
ライオンとしての歩みだ。
LION
2024 年夏号 6
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