投稿リポート 65周年の節目に
子どもたちと平和を思う

65周年の節目に子どもたちと平和を思う
記念講演を行う茶道裏千家の千玄室大宗匠

大分ライオンズクラブ(得丸明浩会長/78人)は、1959年2月25日、日本で116番目、大分県で2番目のライオンズクラブとして誕生し、今年結成65周年を迎えた。節目の年を迎えるに当たり、「大分ライオンズクラブ結成65周年記念事業 国際平和絵画コンクール」を開催した。この絵画コンクールは国際協会が主催する国際平和ポスター・コンテストを参考にしたものだが、対象者を小学1年生から中学3年生までに拡大し、広く大分市内の小中学生に平和・寛容さ・国際理解を推進する機会を提供することを目指した。初開催の絵画コンクールに作品が集まるか不安だったが、目標としていた50作品を大きく上回る86作品の応募があり、ホッと胸をなで下ろした。

子どもたちが平和への思いを込めて描いた作品を多くの人に見てもらいたいと考え、全作品をクラブのホームページに掲載すると共に、大分県立美術館にも展示した。美術館での作品展では、5日間の会期中に延べ1200人を超える来場者数を記録した。また初日の12月26日には、最優秀賞を始め各賞に輝いた児童・生徒12人の授賞式と記念行事を開催した。

記念行事の目玉は、茶道裏千家の第15代家元である千玄室大宗匠を招いての記念講演会だ。千大宗匠は第二次世界大戦中に日本海軍で特別攻撃隊の一員として訓練を受け、多くの戦友を見送った壮絶な戦争経験を持つ。戦後は国内外で日本文化の浸透、茶道の発展、そして茶道を通じた国際交流に取り組み、昨年4月に百寿を迎えられた。この講演会についてはより多くの青少年に平和に向き合う機会を提供したいと、小・中・高校生までを対象として参加者を募集した。当日は受賞者と聴講を希望した市内外の児童・生徒を合わせた約50人、更に茶道関係者やロータリークラブ関係者、当クラブメンバーら、総勢約150人が美術館エントランスの特設会場を埋めた。

「和の心”みんな一緒だよ”」と題した講演の中で千大宗匠は自身の戦争体験を語りながら、平和の尊さ、そして平和を希求するだけでなく平和のために行動することの大切さを説いた。茶道では、茶が振る舞われた時に座を共にする連客に「お先に」と伝えることで他者を思いやり、また茶を頂く時にも茶わんの正面を避ける謙虚さを動作で表現する。千大宗匠はこうしたことを紹介しながら、「自分を半歩下げてお茶を頂く。半歩下がる気持ちがあれば、衝突が起こることはない。この気持ちを忘れないでもらいたい」と聴衆に語りかけた。

会場では講演会に先立ち、大分高校茶道部と茶道裏千家淡交会大分学校茶道連絡協議会の協力で記念呈茶席が設けられ、来賓や審査員、受賞者とその家族に加え、当クラブメンバーにも薄茶一服が振る舞われた。初めて茶席に臨む人もいて最初こそ緊張感も漂ったが、高校生らの心のこもったおもてなしに次第に笑顔があふれ、最後には自然と拍手が起こる温かい茶会となった。

学んだ和の心を生かそうと、2月25日に開催した結成65周年記念式典でも呈茶席を設置。お祝いに駆け付けてくれた方々をもてなしたいという一心で、有志が稽古に励んだ。この稽古で初めて茶筅(ちゃせん)を振った人もいる急造チームではあったが、千大宗匠が記念講演で述べられた「みなさんが手にする丸い茶わんは小さな地球です。その中を見たら緑のお茶が入っている。地球にとって緑は一番大切なもの。緑の『地球』を丸く包みこんで、平和を思い、お茶を召し上がってほしい」という思いを胸に、30分という短い時間ながら心ばかりのおもてなしをした。

式典での呈茶席開催に寄せて千大宗匠から「和心招祥」と揮毫(きごう)された色紙を賜った。平和や調和といった「和」を大切にする心こそが吉祥を招き運んでくると理解出来るだろうか。本年度会長テーマ「和と輪」を掲げて諸活動に取り組んでいる大分ライオンズクラブへの励ましの言葉と受け止めた。「ライオンズクラブは単なる奉仕団体ではない。世論を呼び起こし、二度と無駄な争いのないように、お茶一服をすすり合うような穏やかな気持ちであらゆる人と接してほしい」。記念講演会での千玄室大宗匠のエールを忘れることなく、次の70周年という節目に向けて大分ライオンズクラブの新たな歩みが始まった。

2024.04更新(幹事/福嶋崇)

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