投稿リポート 田園風景を守る
ふれあい農園

田園風景を守るふれあい農園

2023年7月、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と国連のアントニオ・グテーレス事務総長が警告した。日本では線状降水帯の発生頻度が高まり、異常気象による災害が多数発生、農業、漁業、林業も被害を受けている。

岐阜金華ライオンズクラブ(杉浦克彦会長/44人)は16年前に「ふれあい農園」を開設。「緑の田園風景を守ろう」というメッセージを掲げ、環境保全運動に取り組んでいる。田んぼや畑が減少し、森林の手入れが行き届かない現状の中で、少しでも貢献出来ればうれしい。農地には貯水力があり、地球温暖化を防ぎ、自然生態系を保つのに寄与する。農地の破壊は、地球に存在する生き物を年々減少させている。田園風景を守ることが、生物多様性の保全につながる。

ふれあい農園には1町1反歩(1.1ヘクタール)の田んぼと、富有柿40本が育つ畑、15m×30mの農業用ハウスがある。いずれもクラブメンバーや知人が所有するもので、無償で借り受けて持ち主に代わって農作業を行う。現在は、メンバーの主力作業員2人とサポート7人、知人の協力者5人を核に取り組んでいる。もとより素人集団なので作物の品質や収量にはこだわらず、田んぼや畑を在るべき姿に保つことが第一目的だ。今秋はコシヒカリと岐阜のブランド米ハツシモをそれぞれ35俵、柿を6000個収穫。農作業を手伝ってくれた人たちなどを中心にお分けした。かつては身体障がい者のグループと一緒に収穫した米などで餅つきと食事会をしたり、用水路で捕れたナマズを料理して地域の人たちと食事会を開いたりしたこともある。新型コロナの影響でなくなっていたが、今後はまたそうした交流の機会も作っていきたい。

田んぼでの米づくりも畑での農作業も、人の手と農機具そしてビジョンがなければ、持続可能な農業及び社会に向けて前進することは出来ない。人口減、食料自給率37%の日本。田園風景が消えてしまうことを危惧し、懸命に抵抗している。
 
2023.12更新(環境保全委員長/日下部次郎)