投稿リポート 倉吉再発見紙芝居
『くらよし!? 地獄めぐり』

倉吉再発見紙芝居『くらよし!? 地獄めぐり』

倉吉ライオンズクラブ(明里寛会長/42人)はクラブ結成から間もない1961年2月から毎月会報誌を発行し続け、昨年累計700号を超えた。会報誌の製作は会報委員会が担当し、各年度ごとに誌面に工夫を凝らしている。私が委員長を務めた2022-2023年度会報委員会は2022年7月号から1年間、カラーの表紙を使った全12回の紙芝居形式の物語を連載した。

日本の総人口は2008年をピークに減少へと転じているが、鳥取県中部に位置する人口5万人弱の倉吉市においては、人口流出も重なり更に深刻だ。高校を卒業すると進学や就職で県外へ出て、そのまま戻らない人が多い。そこで、子どもたちが地元で生活をしている間にその魅力に気付いて、故郷に愛着を持ってほしいとの思いで物語を作成することにした。

当初、物語のタイトル候補は二つあった。「くらよし子の冒険」と「くらよし!? 地獄めぐり」。これを理事会に提案をしたところ「後者の方がインパクトがあって、新鮮でいいんじゃないか」という意見が多く、決定。私が主催する「お話しサークルたけのこ」のメンバーでフリーライターの井田裕子さんに絵と文を依頼した。物語は、赤鬼のじろべえと青鬼のごくべえが、閻魔(えんま)大王様の命令で鳥取県中部に向かう場面から始まる。2人を待っていたのは甘くてみずみずしいスイカの山「ごろごろスイカ地獄」や、良い香りのするどんぶり型の池「牛骨ラーメン沼」など。倉吉を代表するさまざまな特産・名産を地獄に見立て、その魅力にどっぷりはまってしまったじろべえとごくべえが、最後は「地獄よりもおっかねー!!」と叫んで閻魔様へのお土産をどっさり持って地獄へ帰っていく。

毎月会報が発行される度にクラブの例会で、会報委員会メンバーが紙芝居のようにしてこの物語を上演した。会報誌は各種団体や行政機関などに広く配布しているが、子どもたちに直接手に取って読んでもらえるように、全12回の物語連載終了を待って本物の紙芝居を作成。市立図書館や市内12の小学校に寄贈した。

8月20日には倉吉市立図書館からの依頼を受けて、お話サークルたけのこのメンバー8人が音響付きで紙芝居を上演。他にも倉吉ライオンズクラブが奉仕事業として慰問を行っている老人ホームを始め、各所から次々と上演依頼が来ている。また市立図書館でも市民から紙芝居の貸し出しを求められるなど、広まりを見せている。この活動を通じて、子どもだけでなく大人も地元の魅力を再認識してくれることを期待する。鳥取県中部が「鬼も怖がるほどに良い所」だと実感してもらえる物語になったと自負している。
 
2023.12更新(杉本友子)

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