獅子吼 コウノトリと地域の
共生に向けて

コウノトリと地域の共生に向けて

島根県雲南市の大空を、美しく優雅に舞うコウノトリ。時には7~8羽が飛来し、水田やビオトープ、川などで餌を捕る姿も見られます。こうした光景を見ると、我が市はコウノトリにとって心地良い居場所になっているのだとうれしくなります。

コウノトリは国の特別天然記念物です。雲南市では2016年11月頃から、上空を飛んだり水田を歩いたりする姿が目撃されるようになり、翌年3月にはげんきくんとななちゃんと名付けられたペアが、春殖(はるえ)地区にある電柱に営巣し繁殖を行いました。1999年からコウノトリの保護繁殖、野生復帰などに取り組んでいる兵庫県立コウノトリの郷公園によると、県外の遠隔地で営巣が確認されたのは、徳島、福井両県に次ぐ3例目だそうです。雲南市での最初の繁殖では4月下旬に4羽のひなが孵化(ふか)したものの、母鳥のななちゃんが不慮の事故で死亡したことから、4羽は保護されてコウノトリの郷公園で飼育され、7月に春殖地区養賀の水田で放鳥されました。

18年2月にはげんきくんが新たにポンスニとペアで飛来し、前年と同じ電柱に営巣。4月に4羽が孵化(ふか)し、6月には全4羽が巣立ちました。国内では1971年に野生のコウノトリが絶滅して以降、同じ巣から4羽巣立ったのは全国初だと言われています。げんきくんペアは19年1月にも同じ電柱に飛来したのですが、なぜか他の場所で巣作りをする動きが見られるようになり、雲南市立西小学校の校庭に設置した人口巣塔が居場所となりました。春殖地区では17年から22年まで6年連続で4羽のひなが生まれ、24羽全てが巣立ちしました。同様の例は、国内には他にないそうです。

西小学校では学校全体で、飛来したコウノトリに対して次のような見守り活動を行っています。
① 校庭に設置している人口巣塔の近くに枝木を置く1人1枝運動
② 子どもたちによる、水田に生息するドジョウやメダカなどの生き物調査
③ 市民へのコウノトリ情報の提供

また地元有志も「コウノトリの会春殖」を立ち上げ、コウノトリが住みやすい環境づくりに取り組んでいます。私たちライオンズクラブも、同会のクオカード販売を通じた「愛のコウノトリ募金」に協力しました。収益金は、同会のコウノトリ活動資金や、雲南市教育委員会へ寄付されコウノトリ支援のために活用されています。また、コウノトリの餌となるドジョウ、メダカ、エビなどが生息出来るように、広さ40アールの休耕田に農業用水路を利用したビオトープが作られました。ライオンズ・メンバーも周辺の草刈りなどに参加しています。

私たちはコウノトリが暮らす地域として雲南市を広くアピールしようと、クラブの奉仕活動を行う時にはコウノトリの写真をプリントしたウエアを着ています。メンバーの中には、コウノトリを見に来た人たちにマナーを守ってもらうための見守り活動に参加している人もいます。私たち大東ライオンズクラブは、コウノトリと地域が共生出来る環境づくりのアクティビティに取り組んでいます。
(幹事/2011年入会/75歳)

2023.01更新