投稿リポート カーブミラー清掃と
世界文化遺産登録

カーブミラー清掃と世界文化遺産登録

10月10日、佐渡ライオンズクラブ(中川隆一会長/44人)は早朝6時に集まり、カーブミラー清掃を実施した。高い位置にあるカーブミラーを清掃する際は2人1組で、1人がブラシと洗剤を手に脚立に乗り、もう1人がそれを支えて安全に行えるようにして作業に当たった。例年、佐渡の中心部である国仲地区の主要道を対象としているが、今年は相川地区に場所を移した。

相川は江戸初期に発掘された佐渡金山で発展した町だ。その繁栄ぶりは「江戸を見たきゃ相川を見よ」とうたわれたほどだったという。最盛期には全国から多くの人が集まり、その数は4万とも5万とも言われた。これは当時、鎖国の中にあって唯一の対外貿易の窓口として栄えた長崎の人口と大差がないほどだ。鉱脈最前線で働く穿子(ほりこ)、山留(やまどめ)が山で働き、水替、桶大工、小判所仕事師、川流請負人、御用炭駄賃持ち、絵図師、荷揚など多岐にわたる金山関係の職業に就く人が相川地区で働いていた。町では日々の生活を支える米屋、味噌屋、八百屋、塩屋、炭屋、魚などの乾物を扱う四十物屋(あいものや)、大工に材木屋が軒を連ね、「京町」という京都から来た人たちが集まった町では、絹や小間物を扱う商人が暮らしていた。

新潟県と佐渡市は佐渡金銀山が、今年度の世界文化遺産の国内候補となることを目指している。文化庁への推薦書原案提出は6度目で、今回こそは推薦を得られるのではとの地元の期待は高い。選定されれば、2023年の世界文化遺産登録が見込まれる。当クラブとしても遺産登録への機運を盛り上げるためにも、訪れた人々が気持ちよく町を歩けるようにと、相川地区でカーブミラー清掃を行うことにした。

佐渡の基幹産業の一つである観光業は、新型コロナウイルス感染拡大からかつてない打撃を受けている。宿泊客はコロナ禍前の半分にも満たないという。「佐渡へ佐渡へと草木もなびく」という佐渡おけさの謡の文句ではないが、世界文化遺産登録が呼び水となり、大勢の人が佐渡を訪れてくれる日が来ることを願っている。

2021.10更新(テール・ツイスター/中川康夫)