ニュース北海道胆振東部地震の
被災地で支援活動を展開

北海道胆振東部地震の被災地で支援活動を展開
土砂崩れにより大きな被害が出た厚真町吉野地区

9月6日午前3時7分、北海道胆振(いぶり)地方中東部でマグニチュード6.7の地震が発生。厚真(あつま)町で震度7、隣接する安平(あびら)町とむかわ町で震度6強を観測した。厚真町、安平町、むかわ町では多くの住宅が倒壊。厚真町の広い範囲で大規模な土砂崩れが起こり、吉野地区では住宅が巻き込まれ住民34人のうち19人が亡くなった。内閣府によると、この地震での死者は41人(うち36人が厚真町)、住家被害は札幌市での被害もあり、約4700戸に上った。また、地震により道内全域約295万戸で電力が止まる「ブラックアウト」が起き、道民の生活に多大な影響が出た。

地震被害が大きかった道南エリアを拠点とするライオンズクラブの331-C地区(北海道道南/𠮷原成昌地区ガバナー)は地震翌日の7日、被災地のクラブにも参加してもらい、安平ライオンズクラブの事務局で対策会議を開催。会議では安平(青山亮会長/33人)、厚真(吉岡茂樹会長/34人)、鵡川(むかわ:片岡高志会長/36人)の三つのライオンズクラブを被災クラブに認定、安平ライオンズクラブ事務局を前線基地として、被災地支援活動を展開することにした。

むかわ町では鵡川地区の商店街で、多くの店舗兼住宅が倒壊した

7日の対策会議には豊島信一地区アラート委員長(伊達ライオンズクラブ)も出席。その際、同じ地区の黒松内ライオンズクラブ会員で、ミネラルウォーターを製造する黒松内銘水株式会社の小谷孝夫代表取締役から飲料水を出してもらい、車に積んで駆け付けていた。被災3町では断水が続いていたことから、地区ではまず水を優先的に支援することを決定。翌8日には、安平ライオンズクラブの青山会長が黒松内へ水を取りに行き、240ケースを被災3町に分配した。

同時に、被災クラブからリクエストが上がった物資について、331-C地区キャビネット及びアラート委員長から地区内外のライオンズクラブへ情報発信。各地のライオンズクラブの対応は早く、同じ北海道の331-A地区(荒井喜和地区ガバナー/道央)、331-B地区(若林輝彦地区ガバナー/道北・道東)を始め、東北や関東のライオンズから続々と物資が寄せられた。が、予想外の反響に安平ライオンズクラブの事務局はパンク状態に。そこで被災地に近い苫小牧の331-C地区キャビネット事務局で物資を受け入れ、岡部喜代司キャビネット会計が所有する住家を借りて集積所とすることになった。

「苫小牧市内に集積所を開設してから、道内のクラブを始め全国のライオンズから支援物資を送って頂きました。中にはフェリーなどに乗って自ら支援物資を届けてくださった333-C地区(千葉県)の柿沼由美子災害支援委員長や335-A地区(兵庫県・東)の橋本維久夫アラート委員長など、遠方のアラート関係委員会の方もおり、ライオンズクラブのネットワークに大変感謝しています。また、愛媛県の宇和ライオンズクラブを通じて西日本豪雨で被災された大洲、野村、伊予吉田の各クラブからも支援物資を頂戴し感激しました」
と𠮷原ガバナーは話す。

331-C地区キャビネットは9月26日、避難所となっている厚真町福祉会館で炊き出しを実施した

支援物資集積所の運営は、苫小牧市内にある四つのライオンズクラブ(苫小牧、苫小牧ハスカップ、苫小牧中央、苫小牧白鳥)がクラブごとにローテーションを組んで担当。12日から27日まで、毎日4クラブの会員が2〜3人ずつ交替で詰めて物資の受け入れと仕分け、管理などに当たった。また配布は安平、厚真、鵡川の被災3クラブが集積所まで取りに来て、それを各町の避難所や在宅被災者へ届ける態勢を取った。

そのうち安平ライオンズクラブでは社会福祉協議会とタイアップし、町内に住む独り暮らしのお年寄り宅を訪問。約700人のうち留守宅を除く約560人のお年寄りにレトルト食品と水を手渡した。安否確認を兼ねたこの訪問事業は3回に分けて実施し、会員が手分けをして1軒1軒、お年寄りのお宅を訪ねた。安平ライオンズクラブでは今後、従来から実施している二胡の演奏会や落語会なども計画しており、被災によってお年寄りが孤立しないよう気を付けていきたいとしている。

炊き出しメニューはグランドホテルニュー王子(苫小牧)の名物料理「鴨鍋」のスープを使った鴨鍋うどん

そんな中、9月26日に避難所となっている厚真町福祉センターで、331-C地区とグランドホテルニュー王子(黒井克哉支配人=苫小牧ライオンズクラブ)による炊き出しが行われた。同ホテルは苫小牧市にあり、市内四つのライオンズクラブと、4クラブの会員夫人を中心に構成されライオンズのサポートを受けながら独自の奉仕活動を行う苫小牧ライオネスクラブの例会場となっており、その関係から今回のコラボ活動が実現した。

炊き出しメニューは、グランドホテルニュー王子の名物料理「鴨鍋」のこだわりスープを使った鴨鍋うどんで、温かいうどんとおいしいスープに、被災された方たちは笑顔で舌鼓を打っていた。この鴨鍋に使うアイガモは、北海道滝川市にある障害者授産施設で肥育したもので、ホテルでは全て同施設のアイガモを使っている。鴨鍋セットとして販売しているほどの自信作で、味見をしたライオンズの会員たちもスープのおいしさにうなっていた。炊き出しはこの後、29日にスポーツセンター、30日に厚南会館と、厚真町にある三つの避難所全てで実施。9月後半になって急に冷え込んできた被災地に温かい心を届けた。

9月下旬になり急に冷え込んできた中、温かいうどんとおいしいスープは被災された方たちに笑顔を届けた

現在、3町では仮設住宅の建設が始まっている。最近の災害では、被災した方たちの住まいとして、賃貸物件を利用するみなし仮設や公営住宅を活用する傾向があり、実際に札幌市では賃貸物件が多いため、全てみなし仮設で対応することになっている。一方、安平、厚真、むかわの3町は町内に物件が少なく、建設型も進めている。厚真町では最大130戸程度の仮設住宅を建設する予定だが、10月末に完成する第1期は85戸のみ。また住宅230戸の全半壊が確認されている安平町では10月末までに完成するのは20戸ほどと、避難所生活が長期化しそうな気配があり、これから冬を迎える北海道で、被災者からは不安の声が上がっている。

331-C地区キャビネットは、被災地ではまだまだ息の長い支援が必要だとして、被災された方たちに寄り添う活動を模索。今後は被災地のライオンズからニーズを上げてもらい、現場の声を反映しながら、長期的な視点に立った支援を続けていくことにしている。

2018.10更新(取材/鈴木秀晃)