獅子吼 公開例会で考えた
情報発信の在り方

公開例会で考えた情報発信の在り方

尾道ライオンズクラブは8月5日に公開例会を開催し、認定NPO法人ヒカリカナタ基金の理事長として、途上国に住む目の見えない子どもたちの支援に取り組まれている竹内昌彦氏を講師に招きました。演題は「見えないから、見えたもの」。全盲という視覚障がいを負いながらもさまざまな困難に勇敢に立ち向かい、教育現場に立ち続けた竹内氏が、多くの生徒や保護者、そして社会に伝えてきた人生観をお聞かせいただきました。

講演の中で特に印象的だったのは「見えないことは不便ではあるが、不幸ではない」という言葉です。外からは困難に見える状況を前向きに受け止め、そこから人との関わりや社会への理解を育んでいく姿勢に、多くの会員が心を打たれました。また、日常生活における小さな心配りの大切さにも触れられました。例えば、白杖(はくじょう)を持った方を見かけたら「何かお手伝いできますか」と声をかけ、誘導の際は右ひじを持ってもらうこと、あるいは点字ブロックを塞がないことなど、私たちがすぐに実践できる行動の指針を示してくださいました。

当日はクラブ会員に加え一般市民にも多数ご参加いただき、竹内氏の講演が人々の意識を変える大きな契機になったと感じています。更に、地元紙やケーブルテレビなど各種メディアにも取り上げられ、クラブの活動が地域全体へ広がっていく手応えを感じました。こうしてメディアで取り上げられることは、単なる広報を超え、「奉仕の心」を共有する輪を広げるものと考えます。

IT・MC情報委員長として関わった今回の公開例会を振り返ると、情報発信の在り方がますます重要になっていると実感しました。今回の講演に関しては、視覚障がいを始め障がいを抱える方やそのご家族に勇気を与える内容であったと思います。ただ、広報担当である私自身が、その思いを存分に届けられなかったのではないかと反省しています。

取り組みとして良かったと思っているのは、各種メディアへの発信でした。今の時代はEメールで容易に連絡が可能であり、一斉送信の機能を活用すれば効率的に周知できます。また、報告文案もAIを活用すれば簡単に草案を作成できます。また、実際に取り組んでみて驚いたのは、ライオンズクラブの活動は地域に根差した媒体に取り上げてもらいやすいということでした。我々が当たり前のように行っている奉仕活動は、実は地域にとって価値のある「ニュースの素材」になり得るのです。

今回の公開例会を通じて気付いたのは、人間の持つ「善意」でした。世の中には困難もありますが、善意を示してくださる方が数多くおられます。人間とは本来すばらしい存在であり、私たちも恥ずかしがらずに善意を言動で示すことが重要だと思いました。その価値観をクラブの仲間と、更には地域の人々と共有できれば、世界はもっと温かく、希望に満ちたものになります。そして、クラブの積極的な情報発信が善意の輪の拡大、ひいては会員拡大にもつながっていくと確信します。

ライオンズクラブの奉仕活動は、地域の人々の共感によってこそ大きな力となります。今回の公開例会で得た学びと成果を今後の活動の糧として、より多くの市民と共に「We Serve」の精神を分かち合っていきたいと考えています。

(IT・MC情報委員会委員長/2015年入会/56歳)

2025.09更新