国際財団
ライオンズクエストを
少年司法制度に導入
アメリカ・ケンタッキー州

ライオンズクエストの社会情動的学習プログラムは、全ての青少年の長所や経験を尊重、支援するために構築されている。教室の内外でつながりと帰属意識を育むように設計されたこれらのプログラムは、誰もが自分の価値と社会への貢献を認識し、疎外感を感じないようにするものだ。
2022年、ジェローム・トンプソン元国際理事は「最も危険にさらされている若者に、最も効果的にライオンズクエストを導入するにはどうすればよいか」と自問した。彼はダニエル・エルキンス元地区ガバナーとシア・ニッケル元国際理事との対話の中で、毎年70万人以上のアメリカの若者が法律違反を犯して裁きを受けていることを知った。
地域社会に貢献し、最も必要としている人々に希望をもたらすため、トンプソン元国際理事はライオンズクエストを少年司法制度に導入するためのパイロットプログラムを開始した。裁判所命令による収監の代替手段として、保護観察中の若者たちは、ニーズに合わせて調整を加えた16週間のライオンズクエスト・コースに参加する。トンプソン元国際理事は次のように述べている。
「ライオンズクエストの学習は非常によく出来ています。コースはまず、自分自身を理解することから始まります。なぜなら、他者と交流するには自分自身を知る必要があるからです。そして、コミュニケーションスキルや、前向きな関係の築き方について学びます」
トンプソン元国際理事の後に続き、ケンタッキー州ホプキンス郡マディソンビルには、ライオンズクエストの活動を唯一の目的とした新しいライオンズクラブが結成された。このクラブはライオンズクエストを活用したパイロットプログラムを実施し、郡の少年裁判官と提携して、有罪判決を受けた12歳から17歳の子どもたちにプログラムを提供。子どもたちには、ライオンズクエスト・プログラムを修了するか、少年院に入るかの選択肢が与えられる。
プログラムを開始して以降、子どもたちは目覚ましい成長を遂げている。少年司法プログラムのライオンズクエスト・ファシリテーターであるフェイス・シェルトンは次のように述べる。
「最初はほとんどの子どもたちが参加をためらい、強制されているように感じていました。しかし、3回目になる頃には、わくわくしている様子でした。プログラムへの参加を楽しみにして、次は何が出来るのかと尋ねてくるようになりました」
子どもたちと保護者の関係も著しく改善された。「子どもたちは以前は親と話すのに苦労していましたが、プログラム終了後、長年話したかった会話が出来るようになったと話してくれました。私たちが保護者と子どもたちに効果的かつ適切で、前向きなコミュニケーションのためのツールを提供したことで、良好な関係を築けるようになったのです」とシェルトンは言う。
このプログラムは青少年だけを対象としているわけではない。トンプソン元国際理事は次のように述べる。
「ある若者から『保護観察の解除に課せられた社会奉仕活動を、どうやって完了すればいいのか分からない』と相談を受けました。そこで私たちは解決策を見付ける手伝いをしました。その後、彼は期限内に立派に仕事をやり遂げました。そして再び私たちに連絡をしてくると、プロジェクトの資金管理に関する支援を求めてきました。つまり、これは生涯にわたる取り組みなのです。私たちの奉仕は若者の人生に変化をもたらし、彼らは地域社会の他の人々の生活の質の向上に尽力するのです」
ライオンズクエスト・プログラム交付金についてはこちらをご覧ください。
2025.08更新(国際協会配信 文/シェルビー・ワシントン)