投稿リポート 夢を文字にする夢書道と
夢実現のサポート

夢を文字にする夢書道と夢実現のサポート

高山岊(せつ)城ライオンズクラブ(蒲建治会長/71人)は4年前から、青少年健全育成の一環として「夢書道」を実施している。子どもたちが夢や目標を実現させるための応援プロジェクトだ。対象は高山市内の小学校19校の5年生(今年度は713人)で、200文字以内で現在の「夢」や「目標」を文章にし、それを漢字1文字で揮毫(きごう)するというもの。応募者のうち特に印象深い作品の作者に対して、夢や目標をかなえるための手伝いをするのが、この事業の最終地点となる。

コロナ禍中の過去3年間は作品の展示と参加賞を贈ることしか出来なかったが、制限が緩和された本年度は何としても「夢や目標をかなえるための手伝い」を実現すべく計画を練った。青少年育成委員会では事業年度が替わる前から、チラシのデザインや広報文章の作成、チラシ配布のタイミングなど検討を重ねた。夏休み中にじっくりと時間をかけて取り組めるように、夏休み前の学校校長会で趣旨を説明して資料一式を渡し、多くの子どもたちに作品を出してもらえるよう依頼した。

夏休み明けに委員会メンバー全員で回収した作品は、418点に上った。大勢参加してくれて、とてもうれしく思う。作品の選定基準は、明瞭かつ具体的に夢が表現されていること。作文や書道の良し悪しよりも、思いや個性が重視される。またライオンズクラブのモットー「We Serve(われわれは奉仕する)」の精神や、特に当クラブの本年度スローガン「楽しく明るく! 新たな時代のWe Serve」にマッチする「楽しく人を笑顔にさせる夢、仕事」にも沿う作品を選定した。

まず印象的な45作品を選び、その中から1点を最優秀賞、2点を優秀賞、残る42点を入選とした。これらの作品は1月30日~2月5日の1週間、高山市役所1階ロビーに展示され、大勢の市民に見てもらうことが出来た。後日、応募してくれた児童には作品の返却と併せて参加賞を贈呈した。

最優秀賞に選ばれたのは、「歌」と書かれた伸びやかですばらしい作品だ。その内容には「私は大きくなったら歌い手になりたい。歌で救えるものはきっとあると思う。私が歌い手になれる日が来たら、私の歌や声で幸せになれる人がいる。そんな日が来るといいな。これが私の大きな夢です」と書かれていた。作者は、ロシアによるウクライナ侵攻の報道で、ウクライナの女児が多くの人の前で歌を披露する姿を見て、こうした夢を持ったそうだ。漠然と夢を思い付いたのではなく、「自分が体感したことを形にしたい」という思い、「自分の出来る範囲で人を幸せにしたい」という気持ちが強く伝わってきた。

この夢に対してどんな支援が出来るかを委員会で検討した結果、「歌を歌わせてあげたい」という結論に至った。そのために、歌うためのトレーニングと環境づくりに取り組むことにした。東京からボイストレーナーを招いて実施したトレーニングは児童にとっては初めての経験で、戸惑いながらも精いっぱいがんばっていた。環境づくりとしては、以前、児童が親戚の家で少しだけギターに触れて興味を抱いたと聞き、ギターセット一式をプレゼントした。その後児童は、時間を見付けてはギターの練習に励んでいる。

子どもたちが親や先生らに夢を語る機会は、決して多くはないだろう。そうした機会を設けることは、意義があると思う。保護者からは、「子どもの夢を初めて知った。しっかりとサポートしてやりたい」「親子の会話の話題が増えて良かった」などの声をもらった。

我々も、子どもたちがさまざまな夢を抱いており、その多くが社会への貢献を意識したものであったことに驚き、そして心強く感じた。将来を担う彼らが安心して大きな夢に向かって羽ばたいていけるように、環境を整えることが私たちの責務であると実感した。本事業に応募してくれた児童らがいつの日か夢をかなえ、地域に、日本に、そして世界に幸福をもたらしてくれることを夢見て、メンバー一同がんばっていきたい。
 
2024.05更新(青少年育成委員長/瀧根大樹)