海外の活動 きつい・汚い・危険
その先にあるもの

きつい・汚い・危険 その先にあるもの

カナダ・オンタリオ州にあるメープル ライオンズクラブの会員であるデールとシルビアのマクリース夫妻が、廃棄コンピューターなどをリサイクルする地域のプログラムに協力し始めたのは十数年前。当時はこれがクラブの最も重要な事業の一つになるとは予想だにしていなかった。それが今やクラブが夏の週末に開催する収集イベントでは、わずか2日で輸送コンテナがいっぱいになるほどの携帯電話やコンピューター、テレビ、エアコンなどさまざまな電子機器が集まる。

世界中で年々増え続ける電子廃棄物は、深刻な環境問題になっている。これらには有害物質が含まれるため扱いには注意が必要だが、金や銅、パラジウムなどの金属も含まれており、取り出せば貴重な資源となる。電子廃棄物プログラムは、クラブにとって複数の目的にかなう奉仕事業だ。適切に処理することで環境負荷の軽減に寄与するだけでなく、使用可能なコンピューターは修理した後、地域の学校や家庭に寄付される。またリサイクル業者に処理を依頼したものについては、重量に応じた料金がクラブに支払われる。収集量が増えた今では、最も多くの収入を得られる資金獲得事業になった。

この事業を始めたシルビアは、人間関係の構築が成功の鍵だと強調する。
「私たちがこの活動を10年以上続けてこられた一番の理由は、各方面の関係者と良い関係を築き、評判を高めてきたことです。地域住民やリサイクル業者との連携に加え、学校の必修科目である社会奉仕の課題に取り組むため、生徒たちがメープル ライオンズクラブの奉仕活動に参加しています」

同クラブは年に30回以上もの収集イベントを開催する。その際、ネットワークや公共の利益と同じくらい重視しているのは、信頼を得ること。人々が最も心配するのは、収集された機器の中の個人情報の安全性である。クラブは細心の注意を払い、本人の許可を得てデータを消去し、その結果を保証している。

電子廃棄物のリサイクルは、決して華やかな作業ではない。重くてかさばるプラスチックや金属製の機器を集めて輸送するのは大変な労力だ。プリンターからはしょっちゅうインクやトナーが漏れる。シルビアは言う。
「その苦労は、多くの有用な結果に結び付くものです。だから私たちは続けているのです。そしてこの電子廃棄物プログラムは、メープル ライオンズクラブに成長と成功をもたらしてくれました」

2024.02更新(国際協会配信 文/ジョエル・ラ・プーマ)