獅子吼 笑顔が原動力
~心のふるさとをつくる~

笑顔が原動力 ~心のふるさとをつくる~

山口県防府市小野地区は市内最北に位置し、地区の中ほどを一級河川の佐波(さば)川が悠々と流れています。世帯数1581戸、人口2949人(2023年3月時点)。65歳以上の占める割合がもうすぐ45%を超えそうな少子高齢化が進む農村地域です。私は、この小野地区内にある真尾(まなお)という小地区の自治会長を拝命して8年になります。微力を尽くす中で、自治会長という立場にあればこそ見えてきた地区の課題がありました。それは、地域の人が集う場所の必要性です。私は、いわゆる道の駅のようなものがこの真尾にもあれば良いのではないかと考えるようになりました。

一昔前は井戸端会議といって、2、3人が寄ればお天気から米や畑の野菜の出来具合、家族の健康の話、いろいろなうわさ話、テレビで見た事件・事故まで、さまざまな話題についておしゃべりに花を咲かせていたものです。そんなおしゃべりの中から、互いの状況をそれとなく把握していました。最近はこのような井戸端会議をあまり見かけません。そして、高齢者の多い地区では特に一人暮らしの方が家に閉じこもるなど、社会から縁遠くなってしまうようになりました。私は、そうした状況を改善したい、そのためにはどうしたら良いかと思案しました。そして、特別な用事がなくてもそこに行けば誰かがいて、一緒にお茶を飲んだりおしゃべりしたり出来る、そんな場所を作ればいいと思い至りました。またそこは、近隣のお母さんたちの手料理を詰めたお弁当を一人暮らしの人に届けるというプランの拠点にも出来るのではと考えたのです。

地区を流れる佐波川に沿って防府市と山口市を結ぶ県道184号が通っているので、ドライバーやサイクリングをする人たちも通りすがりに立ち寄ってくれればいい。そして真尾の景色や風を感じ、地域の良さを感じ取ってもらいたい。更に出来得ることならば、「ここに住んでみたい」と思ってもらえれば・・! いろいろ考え合わせた結果、「里のえき ふれあいステーション真尾」を作ることにしました。もちろん簡単ではありませんでした。資金が潤沢にあるわけではなく、私自身に飲食業の経験があるわけでもない。不安ばかり大きいのに、何かに駆り立てられるように準備を進め、2022年1月14日にオープンすることが出来ました。地元の農産物、作家や住民による手芸品や木工品、そしてお弁当が並ぶ店です。うどんなど軽食のイートイン・コーナーもあります。スタッフも地域の方々から募りました。最初はおぼつかなかったレジ打ちや商品陳列も、オープンから1年が経ちずいぶんと様になってきました。外壁の絵も地区の仲間の作品です。

里のえき ふれあいステーション真尾で健康体操をする地域の皆さん

私にとってライオンズ・メンバーであることは、物事を進める方向を決めたり決断したりする上で大いに影響しています。「自分が今からやろうとしている事案は奉仕の精神にかなっているか、いないか」という、ライオンズで学んだ精神が私の中の基準になっているのです。私は現在67歳。サラリーマン時代も一生懸命に働き充実した日々を過ごしていましたが、今レジに立って「ありがとうございました!」と言い、お客様から笑顔で「おいしかったです。ありがとう」と返していただく時、何とも言えない喜びを感じています。日々のたわいないやり取りの中で、やりがいや満足感を得ています。自分の暮らす地域で、ささやかでも役に立つことがあるというのは、本当にうれしいことです。スタッフやお客様にも「自分が役に立つ場所がある」「心地良く過ごせる場所がある」と感じてもらえれば、言うことはありません。こんな喜びの時間が続き、積み重なっていけばいいなと思います。

お近くにお越しの際はどうぞ、里のえき ふれあいステーション真尾にお気軽にお立ち寄りください。「笑顔あふれる店」であるかをお確かめいただき、応援していただけますと幸せます*。
(会員委員長/14年入会/67歳)
*幸せます=山口の方言で「幸いに存じます」「幸甚です」「助かります」の意

2023.05更新