ニュース復興と平和を願って走る
三陸鉄道のラッピング電車

復興と平和を願って走る三陸鉄道のラッピング電車

三陸沿岸に甚大な被害をもたらした東日本大震災から11年。発生直後からライオンズクラブを始め国内・国外から多くの支援があり、ハードウェア面の復興は着実に進んでいる。しかしながら、大きな被害を受けた沿岸の人々には癒えることのない心の傷が残っていることも事実だ。一方で、10余年という長い歳月を経て、同じ県内に暮らす私たちでさえ記憶が薄らいでいくことは否めない。

332-B地区(岩手県/村上孝地区ガバナー)は継続的に沿岸部の皆さんに寄り添い、三陸復興を支援する奉仕事業を実施してきた。今期、村上地区ガバナーは地区内全クラブに対して復興支援事業を提案するよう求めた。1リジョン1ゾーン(盛岡地区)の7クラブは、国際協会が毎年行っている国際平和ポスター・コンテストの地区入賞作品を三陸鉄道の列車にラッピングして運行する事業を提案した。三陸鉄道は津波により路線各所で駅舎や線路が流出するなど甚大な被害を受けたが、震災発生から5日後には一部区間で運行を再開して被災者を勇気づけ、14年4月に全線復旧し運転を再開した。三陸鉄道は復興の象徴であること、国際平和ポスター・コンテストの応募作品は地域の子どもたちの思いが込められていることなどから企画したものだ。

検討の結果、地区内から集まった案の中からこの提案が選ばれ、LCIF地区及びクラブシェアリング交付金を活用して実施されることになった。復興の象徴である三陸鉄道で、沿岸の住民の皆さん、未来を担う子どもたち、県内のライオンズ・メンバー、その他多くの人々の気持ちがつながるという意味を込めて、ラッピング列車のテーマは2021-22年度国際平和ポスター・コンテストと同じ「私たちは みんな つながっている」に決定した。村上地区ガバナーをトップにした実行委員会で準備を進めたが、コロナの影響で延べ5回の打ち合わせ会議は全てZoomで行われることになった。ウェブ会議に不慣れな方も多くいる中でこれもチャレンジの一つだった。

そして迎えた3月13日、三陸鉄道の宮古駅でラッピング列車の出発式が開催された。当日は小雨が降る肌寒い天気で、感染症予防の観点からスタッフも少数になったが、地元クラブのメンバーを始め全員で懸命に準備した。出発式では多くのメディアが集まる中でテープカットを行い、招待した入賞作品の子どもたち・保護者18人が列車に乗り込んだ。そして、山田町立船越小学校6年の佐藤心咲さんによる「出発進行」の号令で、色鮮やかな71点のポスターに彩られたラッピング列車は一路、田野畑駅へ向けて出発した。感染症対策のため定員の半分での運行になったが、車中ではガイドによる説明を聞きながら2時間の旅を楽しんでもらった。

この列車はこれから1年間、三陸沿岸を復興と平和の願いを乗せて不定期で運行する。この列車を目にして少しでも多くの方々が勇気づけられ、また平和への願いを新たにしていただけることを切に祈っている。コロナ禍が落ち着いた折には、全国から多くの会員の皆さんが三陸を訪問し、沿岸の雄大な景色と復興していく街の姿をご覧いただければ幸いだ。

2022.03更新(盛岡中津川ライオンズクラブ会長/嶋野衛)