国際財団力強いパートナーシップ

力強いパートナーシップ
タイで行われたサイト・フォー・キッズの検査

元気になったベン
ベンは3歳。無邪気で好奇心にあふれた年頃だ。しかし彼の顔には、いつも怒ったような表情がはりついていた。ほとんど笑わず、歩行などの運動能力に遅れがあり、よく物にぶつかる。彼はそのイライラを、泣いたりかんしゃくを起こしたりすることで表現していた。両親はベンの振る舞いの理由も彼を助ける方法も分からず、途方に暮れた。

ある時、両親は彼の視力に問題があるのかもしれないと思い至った。が、医者に見せる経済的な余裕が無い。そんな時、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)とジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンによるパートナーシップ・プログラム「サイト・フォー・キッズ(SFK)」を知った。SFKケニアは、ベンの暮らすケニア西部の都市キクムの学校で開催されている。ベンは就学年齢には達していなかったが、特別に受けることが出来た。検査後、医師は彼の右目には先天性白内障があり見えなくなっていると診断した。

両親はすぐに、ベンをライオンズ視力ファースト眼科病院に連れていった。ここでベンの目から濁りを取り除く手術が無料で行われ、眼鏡も提供された。初めて眼鏡をかけたその時から、ベンのしかめっ面は一転。にっこりとほほ笑み、それから声を上げて笑いだした。ベンにとって生まれて初めて見る鮮明な世界だった。

腕の良い眼科医であり、ライオンズ視力ファースト眼科病院のSFKケニア委員長でもあるタンビ・シャーは言う。
「目の健康についての人々の認識は、あまり高くありません。治療施設の不足や経済的理由などからも、気づかれないままになっている子どもたちの症例は少なくないでしょう」

ベンの生活はガラリと変わった。彼は不機嫌で聞き分けの無い子から、同年代の子と同じように動き回れる健康な子どもになった。

子どもたちのためのパートナーシップ
2001年、LCIFとジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンはパートナーシップを結び、SFKをスタートさせた。世界では1900万人以上の子どもが視覚障害を抱えており、そのうちの3分の2は眼鏡で矯正出来ると言われている。SFKは地域の眼科専門家やライオンズ、ボランティアらによって運営され、低所得者の多い地区の学校で子どもの目の健康に関する教育や検査を行う。検査で目に問題が発見された児童には、医師による診察と、眼鏡や必要な処置が無料で提供される。多くは眼鏡で視力矯正すれば済むものだが、時に失明や成長の阻害、社会的な機会の喪失につながる深刻な症例が発見されることもある。

SFKは学校で行う目の健康教育として、アジアでスタートを切った。近年はライオンズクラブとLCIF、ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンの世界的なネットワークにより、更なる広がりを見せている。今やSFKは、学校を基盤とした世界最大の視力検査プログラムと言えるだろう。

地元のライオンズは、プログラムにおいて重要な役割を担っている。関係省庁や学校側の承認を得、地元の眼科医療専門家を募集し、子どもたちの目の健康を守れるよう教師をトレーニング。また保護者たちに、金銭的な負担なしに経験豊富な専門家に診てもらえることを説明し、子どもに目のケアを受けさせるのを後押しする。

協働による成果
SFKは、ライオンズとジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンにより大きな発展を遂げた。ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンは「人々の視力の改善、つながりの強化、より良い生活」を通じて、地域社会と世界の健康の向上を目指している。ライオンズは、医療サービスを十分に受けられない世界中の各地域で予防可能な失明と戦う「視覚障害者の騎士」である。

ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョン及びインターナショナル・ソリューションズ&スペシャルティ・サージェリーのシュロミ・ナフマン会長は言う。
「視力は私たちを人生のさまざまな瞬間に結び付け、また他者とのつながりにもなっています。ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンは、世界中の人々の目の健康に変化をもたらすという大きな目的で団結しています。そのために最前線の科学技術や専門家と力を合わせ、生涯を通じて目を健康に保つことの重要性を広めようとしているのです。ベンのように年若い患者が成長し、遊び、学ぶために視力を守ることから、人生を満喫するために視力を改善・回復させることまで、私たちはあらゆる段階で関わりを持ってきました。私たちは共に、視力で結ばれた世界を創造しています」

LCIFとジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンによるSFKは年間200万人以上、18年間に及ぶパートナーシップの中では3000万人を超える子どもたちの目の健康を守ってきた。ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンと同社従業員らの協力を得て、各地のライオンズは地域社会がより健康であるために必要なものを提供。その結果、子どもたちはより大きなチャンスと成功を手にしている。

SFKの功績
●10カ国で3000万人の子どもに目の検査を実施
●17万人の教師にトレーニングを提供
●60万人以上の子どもに眼鏡や治療を無料提供
●ジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンが地元基金に450万ドルを寄付

将来に向けた取り組み
18年間で3000万人を検査し60万人の視力を改善してきたSFKの今後は? LCIFとジョンソン・エンド・ジョンソン・ビジョンはSFKを通じて、2021年までにこれまでの2倍の子どもたちを検査し、世界で100万人以上の子どもを治療することを目指している。

2019.07更新(文/ジェイミー・ケーニヒスフェルト)