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地域の車椅子バスケット・チームをサポート

東京パラリンピックを前に障害者スポーツへの関心が高まっている。特に車椅子バスケットボールは、「障害者スポーツの花形」と呼ばれ、メディアなどで目にする機会も多くなった。

そんな車椅子バスケットボールの魅力を中学生に知ってもらうと共に、障害者を持つ人たちと触れ合う機会を提供しようと、12月3日(日)、函館市立赤川中学校で車椅子バスケットボールの体験教室が開かれた。これは函館市、函館地方法務局、函館人権擁護委員連合会で構成される南北海道人権啓発活動ネットワーク協議会の主催で実施されたもので、教室には同中のバスケットボール部員が参加。競技の説明や実技の披露には、函館市の車椅子バスケットボール・チーム「ハダーズ函館元町ライオンズWBC」(山田行広代表/8人)が当たり、ハダーズを支援する函館元町ライオンズクラブ(井上誠会長/35人)も参加した。

体験教室ではまず、ハダーズの須藤由司コーチが中心となって、ルールなど車椅子バスケットボールの基本を説明。次いで選手たちが、車椅子の直進、ターンなどの操作方法や、ドリブル、シュートなどの実技を披露した。その後、生徒たちはハダーズの選手から指導を受けながら競技用の車椅子に乗ってみたり、ハダーズの選手たちとの混合チームで体験ミニマッチを行ったりして、車椅子バスケットボールを体験した。

生徒たちは全員バスケットボール部員で、普段からボールの扱いには慣れているものの、車椅子を操作しながらのプレーはやはり難しかったようで、ハダーズの選手たちのスピードと迫力に関心していた。この日は、逢坂誠二衆議院議員も函館元町ライオンズクラブの一員として参加し、車椅子バスケットボールを体験したが、車椅子に座ってボールを持った時点で「これは無理だわ」と驚きの声を上げ、選手たちの運動能力に感嘆していた。

ハダーズは地域貢献のため、これまでも度々、市内の小中学校へ出向き、自主的に体験教室を開催している

ハダーズは1991年、「函館車椅子バスケットクラブ(WBC)」として発足。2003年に古参メンバーの引退などがあって若返りを図った際、チーム名を「Harder’s(ハダーズ)函館WBC」に変更した。が、当時は非常に運営が厳しく、市からの補助金では用具の購入や遠征費などは賄えず、選手から部費を集めたり、道内や全国大会への遠征費などは各選手の自己負担という中で、練習を続けてきた。こうした状況はハダーズに限らず、ほとんどのチームに共通する悩みで、チームによっては遠征費を工面出来ず全国大会出場を辞退することもあるという。

そんな時に函館市内のライオンズクラブが支援に乗り出し、ボールやボールケースなどを寄贈した。更に2011年になって、この活動を函館元町ライオンズクラブが受け継ぎ、2種類のユニフォームを作り、用具や遠征費に使えるようにと、年間で上限を決め金銭的な援助も行うようになった。また試合がある時はライオンズの会員が自前の横断幕を持って会場へ駆け付け、熱い応援を展開する。函館市内ばかりか、道内外を問わず可能な限り遠征にも随行するという熱の入れようで、ハダーズもライオンズの本気の応援に応えようと、チーム名に「函館元町ライオンズ」の名を加え、ハダーズ函館元町ライオンズWBCに改名。以来、二人三脚でチーム強化に努めている。

ハダーズと函館元町ライオンズクラブのメンバー。応援用の横断幕もライオンズで用意した

こうした現状にハダーズの山田代表は、「競技用の車椅子は約50万円とかなり高額で個人負担が多い上、ユニフォームやボールなど、チームとして活動するにもお金がかかります。我々の場合、ライオンズさんのおかげでユニフォームを2種類持っているので、2日間にわたる大会に遠征した時などとても助かっているんですが、そもそもユニフォームにスポンサー名が付いていることなど、障害者スポーツではまずないことで、他チームからうらやましがられています」と話す。

一方、チームとの橋渡し役となっている函館元町ライオンズクラブの若杉充宏元会長は、「財政事情は多くの障害者スポーツに共通な問題だと思います。我々の活動が一つのきっかけとなり、ライオンズを始めとした支援活動につながってくれれば」と話し、輪の広がりに期待を寄せる。実際、以前本誌に関連記事が掲載されたことで、車いすバスケットボール九州大会を主催している福岡県・久留米りんどうライオンズクラブから連絡があり、将来的な連携や全国的な活動の広がりに夢が膨らんだ。また最近では、札幌市内のライオンズクラブが北海道車いすバスケットボール連盟に支援の打診をするなど、ハダーズと函館元町ライオンズクラブの活動が、他のライオンズクラブへの良い刺激となってきている。

ドリブルをしながら全速力で敵コートに切り込む田中選手

現在、ハダーズのメンバーは8人(うち中学生2人)。一昨年には全日本ジュニアの元代表で、東京のチームで6年間プレーしていたポイントガードの田中聖一選手(赤川中学校出身/写真上)がチームに復帰した。以来、田中選手のゲームメークによって、竹森敬高主将のスピードや小田原寛文選手のシュート力がより一層生かされ、チーム力が格段に向上。昨年10月に開催された第46回日本選手権大会北海道地区予選会でも好成績を収め、この4月、東京で開催される日本選手権への出場が決まった。もちろん、函館元町ライオンズクラブの会員たちも、久々の日本選手権出場に沸き立ち、4月には応援ツアーの実施も計画しているという。

2018.01更新(取材/鈴木秀晃 写真・動画/田中勝明)