投稿リポート 障がい者施設で
和菓子づくり体験

障がい者施設で和菓子づくり体験

名古屋フロンティア ライオンズクラブ(川東亮介会長)は今年3月に誕生した、会員数26人、平均年齢50歳の若手クラブだ。日本の四季を大切にしつつ、障がいのある方々への奉仕活動を中心に行っている。

9月19日には、障がい者の就労継続支援B型作業所・キキランド(愛知県稲沢市)を訪問。当クラブのメンバーで和菓子店店主の松浦泉さんと竹口久嗣さんが十五夜のお月見用和菓子の作り方を指導し、和の文化を楽しんだ。参加したのは施設利用者4人と職員1人、当クラブのメンバー12人。皆、和菓子作りは初挑戦で、手でこねるだけの簡単そうな作業もなかなかうまくいかず、悔しそうにやり直す人、独特な形になり照れ笑いをする人、ユニークな形を作る人……。正解がないから面白いし、何度でも作り直せる。その全てが正解。そんな安心感が根底にあるからこそ作業に没頭出来、次第に「もっといろいろな形を作ってみたい」という声や、無邪気な笑顔が増えていった。自作の団子を家に持ち帰る人も多く、家族に喜んでもらえるようにゆっくり丁寧にラッピングをする姿からはその思いが伝わり、メンバーの喜びもひとしおだった。

指導した松浦さんからは、「東海地方では、お月見団子を里芋の形にすることが多いです。そして三方(さんぼう:供物を乗せる台)に団子を乗せるのは、無事に秋の作物を収穫出来たことを神様に報告し、感謝を表現しているからです。和菓子は歴史と深く関わりながら発展した、日本の伝統文化の一つ。すばらしい四季を感じながら、五感を使って和菓子を楽しんでください」という説明があった。四季を演出する和菓子職人の言葉には愛情がたくさん詰まっていて、メンバー一同心が温かくなった。竹口さんには愛らしいうさぎアートの作り方を習い、女性たちからは「可愛い!」という声が飛び交っていた。

作業をする中でいちばん驚いたのは、見本通りに美しい和菓子をいくつも作る人がいたこと。すばらしい感性に思わず見とれてしまった。それを見た施設職員が「いろんなことを経験させてあげたいが、体験出来る所が少なく残念だ」と寂しそうに話された様子が胸に残った。今回の活動を終えて、メンバーからは「選択肢が多いことが自由の一つの尺度とするならば、より多くの選択肢を提示したい」という意見も出た。

日本では障がいをネガティブに捉えて、サポートをしなければならないという概念が強い。しかしアメリカでは障がい者を「チャレンジド」と呼び、「挑戦という使命や資格を与えられた人」としている。そこには、障がいを社会のためにポジティブに生かしていこうという意味がある。当クラブでも尊敬の念を込めて障がい者をチャレンジドと呼び、日本文化を体感してもらう機会を作りたいと考えている。

ライオンズでの経験が浅いメンバーが大半を占める当クラブには、固定概念にとらわれない斬新な発想や企画力という強みがある。タイムパフォーマンスを重視せざるを得ない世代でもあり、それ故、子ども同伴可の例会や、Zoom会議、インターネットを使ったクラブ認知強化などの自由な取り組みも多い。まずはメンバーが幸せでいることを最優先とする共通認識が仲間意識を高め、アピールポイントの一つになっていると思う。今後も奉仕によって培われる正しい観念の下、ライオンズクラブのPRと幸せの輪を広げる奉仕活動に貢献していきたい。
 
2023.09更新(計画委員長/山本真奈美)