投稿リポート タイの学校での
持続可能な食料支援

タイの学校での持続可能な食料支援

名古屋中村ライオンズクラブ(中野康孝会長/120人)は今年、結成50周年を迎える。その記念奉仕事業として、タイのタクシンスクサ・スクールへの食料支援を行った。ライオンズクラブ国際財団(LCIF)食料支援パイロット交付金プログラムの交付金1万8000ドルと、姉妹提携を結んでいる長野県・松本中央ライオンズクラブと台湾台北市の明徳獅子会、当クラブの40周年、45周年でも共に記念事業を行ったタイのドゥシット ライオンズクラブ、そしてタクシンスクサ・スクールがある地元のムアンチャット ライオンズクラブとチャンタブリ ライオンズクラブの協力を得て実現した。

幼稚園と小学校の一貫校であるタクシンスクサ・スクールでは、全園児・児童366人のうち約30%に当たる100人以上が、医師から栄養失調と診断されていた。学校給食は地元有志の寄付によって支えられているのだが、それが不足していたのだ。更に老朽化した調理室の屋根には穴が開き、壁は養生用のボードがあてがわれた状態で、衛生面でも問題があった。そこで我々は問題を根本から解決するために、持続的な食料確保を可能にする事業を計画したのである。

まず校庭にバナナの木100本を植えた他、野菜畑と水耕栽培の設備、魚やカエル、貝などの養殖場を造成。食料を生産出来る環境を整えた。子どもたちは自らの手で野菜や魚などを育て、成長課程を観察することで、学びや楽しみを得ながら食材を確保出来る。食料生産が順調に進めば、問題解決への糸口となる。更に調理室を改修し衛生的に調理が出来るようにした。この事業により、在校生だけでなくこれから入園・入学してくる子どもたちも、空腹に苦しんだり栄養失調と診断されたりすることなく、学校給食を楽しみにしてくれるようになるはずだ。

学校長からは「学校と地域、保護者と園児・児童が一丸となって、この事業を継続していきます。そしてこれが学習リソースとしてもロールモデルになるように、教育機関と地域、保護者とも共有し分かち合いたいと思います」との言葉を頂いた。同事業の受益者数は、この先も増え続けていく。

この活動を通じて、大勢の子どもたちの笑顔に触れられたことを大変うれしく思っている。国境を越えた6クラブが手を携えたことで、空腹を満たすだけではない大変有意義な青少年育成事業になったと自負している。
 
2023.05更新(CN50周年記念大会アクティビティ部会長/吉川敦)