国際財団 聴覚障がい者の
"第二の我が家"

聴覚障がい者の”第二の我が家”

ブラジル・パラナ州メディアネイラのろう学校に通う生徒たちは、学校のことを「第二の我が家」と呼ぶ。そこは聴覚障がいのある生徒たちにとって、希望の代名詞であり、入学を切望する生徒が後を絶たない。ブラジルでは聴覚障がいを持つ人々は、質の高い教育を受けたり、自身や家族を養うための仕事を確保したりするのに苦労することが多い。そこで、メディアネイラ聴覚障がい者協会(AMESFI)は1995年にろう者の団体と協力し、あらゆる年齢の人たちに対応したろう学校を開校した。

AMESFIはブラジル手話を通訳者や地域住民にも教えることで、聴覚障がいのある生徒が公立学校に入学する機会を増やしている。またパラナ州のライオンズとの協働を進め、更にライオンズクラブ国際財団(LCIF)とパートナーシップを結んで、聴覚障がいを持つ人々の教育や雇用の機会を創出している。

LCIFから拠出された7万5000ドルのマッチング交付金により、メディアネイラ ライオンズクラブとメディアネイラ・パルケ・イグアス ライオンズクラブはAMESFIと共に、職業訓練施設を新設した。完成した2階建ての校舎では、毎年14歳から25歳までの生徒に就業支援を提供している。彼らは自分の適性を見付けるためのテストを受けたり、就職活動の指導を受けたり、地元企業とのワークショップに参加したりして、自らの進路を見いだしていく。地元企業の中には、ライオンズ・メンバーが経営または勤務している会社もある。
「職業訓練により、教育を受ける権利、健康、労働市場への参加、生徒とその家族のより良い未来を保証することを目指しています」と話すのは、AMESFIの会長でメディアネイラ・パルケ・イグアス ライオンズクラブの幹事を務めるシルレイ・ビッテンコート・ピネイロ・ブロッド氏だ。

同校の教師の多くはAMESFIのろう学校を卒業しているため、生徒たちの希望を十分に理解し、彼らがうまく社会に参加するための知識やノウハウを心得ている。LCIF交付金は、雇用や資格取得の機会の向上、自己肯定感の育成、経済的自立など、多くの重要な成果をもたらしている。

「聴覚障がいを持つ人々の生活に大きな影響をもたらす活動に携われて、計り知れない喜びを感じています」とブロッド幹事。AMESFIとパラナ州のライオンズは教育と職業訓練に焦点を当てた総合的な支援プログラムを通じて、聴覚障がい者の第二の我が家を作り上げた。多くのライオンズが、聴覚障がいのある生徒に自信とスキルを与え、明るい未来を描くための機会を提供している。

2023.04更新(国際協会配信 文/エリザベス・エドワーズ)