トピックス 模擬ユースキャンプでの
学びと交流

模擬ユースキャンプでの学びと交流

334複合地区は2022年9月3〜4日、愛知県美浜町にある愛知県美浜自然の家で「模擬ユースキャンプ」を開催した。コロナ禍で実施出来ない状況が続いているユースキャンプの代替として企画したもので、少しでも本来のユースキャンプに近付けるようAFS(異文化学習の機会を提供する世界的な教育団体)を通じて来日中の留学生6人を招き、334-A地区(愛知県)のユースキャンプ及び交換(YCE)OBを中心に青少年22人が参加。各準地区のYCE委員長を始めとするライオンズ・メンバーも加わり行った。

開催場所の美浜町が海岸沿いにあることから、キャンプのテーマにはSDGsの14番目に当たる「海の豊かさを守ろう」を選定した。当初は海岸の清掃活動から出たゴミを利用したアート作りを計画していたが、当日は残念ながら雷雨に見舞われたため、事前に用意したペットボトル等を利用した。交流会では日常生活で使うプラスチック製品を洗い出し、代用出来る物やプラスチック製品の利用量を削減する具体的な方法を提案し合うなど、身近なところから環境問題に対する意識を高めていった。

翌日に行った「理想の国家を作ろう」という交流企画では、出身国や文化の違いから生じる意見の対立を危惧していたものの、異文化交流の基本通りに互いを尊重しながらアイデアを擦り合わせてまとめ上げることが出来、各地区YCE委員の評価も高かった。

参加したYCEのOBたちは、本来はユースキャンプのサポートを目的に立ち上げられた、334複合地区YCE委員会の補助組織のメンバーであるが、このキャンプでは企画の段階から主体となって関わった。司会から発表まで英語で行うという高いハードルがあったにもかかわらず、YCE派遣で培った英語力を駆使して積極的に交流した。コロナ禍により3年間にわたり従来のYCE事業を実施出来ずにいる中で、1日半という短い時間ではあったが、YCE活動の重要性を再認識した充実の模擬キャンプであった。

2022.12(334複合地区YCE委員長/川嶋秀典)

■参加者レポート


加藤詩萌(会場運営担当) 
2019年度夏期YCEフィンランド派遣(愛知県・吉良ライオンズクラブ)

コロナ禍の影響で今年を含め3年もの間、ユースキャンプの開催は断念せざるを得ない状況にある。しかし今年度、ついに6人の留学生を交えた模擬ユースキャンプを開催するに至った。ユースキャンプでは、YCEプログラムで来日する世界各国の青少年を集めて国際交流を図っている。これを模擬的に開催することで、近い将来に再開された時のためのノウハウの伝承や、新しい形を模索することを目指した。

模擬ユースキャンプは9月3〜4日の1泊2日の日程で、美浜自然の家で行われた。活動内容としては、1日目にゴミ拾い、バーベキュー、交流を目的としたグループワーク、2日目には前日に拾ったゴミを用いたゴミアート制作と交流会を予定していた。残念ながら天候に恵まれず、1日目のゴミ拾いは中止となってしまったものの、代わりに用意していた一刀彫の湯飲み茶わん制作では、それぞれの個性を生かしたユーモアあふれる作品が仕上がった。互いの作品を鑑賞し合うことによって、交流を深める第一歩になった。その後はバーベキューで全員が協力して料理をし、共同作業を行うことで自然と会話も増え、留学生との交流が活発化した。一緒に作ったものを一緒に食べる、という行為の重要さに気付かされた。

次に行われた交流会も、大いに活発な話し合いの場となった。内容は、チームごとに理想の国を作るというものである。チームで国名を決め、人口や国の特徴、大統領はどのような人物であるか、どんな人たちが住んでいるのか、などの細かい設定まで話し合い、その国をイメージした国旗を作成した。ここでも各チーム・メンバーの特性がよく生かされ、出来上がった国旗には似たものが一つとしてなかったことに驚いた。私が所属したチームでは、チェコ出身の留学生の提案により、チェコ語で「愛」を意味する「Láska」を冠した「Láska Country」という国を考案した。清貧な好々爺(こうこうや)の治める小さな国で、国旗の中心には平和を象徴する風車とオリーブの木を飾った。

2日目の交流や話し合いも活発に行われ、それぞれの意見を通して各自が新しい発見と知見の深まりを得ることが出来た。特にゴミアートの制作では、模擬キャンプの目的でもあったSDGsへの理解を深める奥深い作品も創作され、チームの思慮深さと独創性を発揮することが出来たと言えよう。

この模擬ユースキャンプの開催は、多くのライオンズクラブの皆様のご尽力あってこそのものである。この場を借りて、今回このような貴重な学びの場に参加出来たことへの感謝の意を表したい。そして、早くユースキャンプ及び交換が再開し、再び海外の人々と交流出来るようになることを心から願う。