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八戸きれい海ライオンズクラブ（引敷林徹会長／32人）は2021年10月に結成された、332-A地区（青森県／田名部智之地区ガバナー）で最初のスペシャルティクラブです。名前の通りきれいな海を守ることを第一の目的に、環境問題に特化して活動しています。

今日、4月17日は市内鮫町にある蕪島（かぶしま）海水浴場で清掃活動を行い、終了後は近くの八戸市水産科学館マリエントに移動し、弘前大学地域戦略研究所の吉田曉弘准教授による「海洋プラスチックゴミの再エネルギー化について」の勉強会を開きました。蕪島は春から夏にかけて3万とも4万とも言われるウミネコが飛来する繁殖地で、国の天然記念物に指定されています。荒々しい岩場や天然の芝生地など変化に富んだ種差海岸の端にあり、東日本大震災の復興のシンボルとして東北地方の太平洋沿岸に整備された、総距離1000kmに及ぶ「みちのく潮風トレイル」の北の起点にもなっています。

2021年8月11日、八戸港の沖合で貨物船が座礁し、船体が折れて燃料の重油が海に流出する事故が発生しました。重油は沿岸にも流れ着き、一時は漁業者が漁を中止するなど大きな影響を及ぼしました。ふるさとの海を汚染から守るために自分たちに何が出来るか、以前から環境問題に高い関心を持っていた仲間で考えましたが、気持ちが空回りするばかりで行動を起こせずにいました。

そうした中、面識のあった田名部地区ガバナーとお話しする機会に自分たちの思いを伝えたところ、「それならライオンズクラブを作ってはどうか？」と言われました。田名部ガバナーは、「ライオンズクラブは環境問題にも力を入れているし、全国にネットワークがある。長年にわたる奉仕活動の実績があるので行政とも話が通じやすい。ちょうど会員構成や活動内容を絞り込んだ『スペシャルティクラブ』という新しい形のライオンズクラブを結成しようと考えているところなので、海をきれいにする活動に賛同する仲間を集めてクラブを作ってはどうか」と提案してくださいました。それが「八戸きれい海ライオンズクラブ」を作るきっかけです。

クラブ結成を目指して動き始めた時には4、5人のグループでしたが、知り合いに声をかけたり、SNSで呼びかけたりして、2週間ほどで20人近い会員候補者が集まりました。地元のサーファーなど、私たちと同じように重油による海の汚染にやり切れない思いをしていた人たちが加わってくれました。会員20人のめどが立つと、田名部地区ガバナーと佐藤正洋キャビネット幹事が2回にわたって説明会を開いてくださり、出席者のほとんどがライオニズムに理解を示しました。そして、12月19日の認証状伝達式までに30代、40代を中心とした会員25人が集まり、八戸きれい海ライオンズクラブとして船出したのです。

2カ月弱の短期間のうちにクラブを結成することが出来たのは、会社員や主婦でも参加しやすい会費設定（月額2500円）もさることながら、活動内容を環境問題に絞り込んだために、目的がストレートに伝わって共感を得られたのだと思います。クラブが発足した後も、地球温暖化防止のために活動する青森市在住の会員など、多彩な顔ぶれの仲間が増えています。今月は、SDGsの推進に取り組む女性など新会員3人を迎える予定で、そのうち2人は今日の活動にも参加してくれました。

クラブでは今後も毎月1回、第1日曜日の朝に海岸などの清掃活動をすることにしています。八戸きれい海ライオンズクラブとして八戸市のクリーンパートナーに登録したので、ボランティア用ゴミ袋の提供や収拾したゴミの回収は市が行い、活動報告をホームページに掲載してくれます。

今日の清掃活動の後に開いた勉強会は、廃棄物の再資源化を手がける企業に勤めるメンバーの紹介で、吉田准教授に快く講師を引き受けていただきました。海洋プラスチックゴミやリサイクルの現状、更に再エネルギー化の課題についてお話を伺い、リサイクルにはさまざまな難しい問題があることを知りました。これを第一歩として、私たちが出来ることは何かをみんなで考え、楽しく活動していきたいです。

2022.06更新（取材／河村智子）