投稿リポート 視覚障がい者への理解を
深めて思いやりある街に

視覚障がい者への理解を深めて思いやりある街に

1925年のライオンズクラブ国際大会でヘレン・ケラーがスピーチし「盲人のために暗黒と戦う騎士になってください」と呼び掛けた日から、視覚障がい者支援はライオンズクラブの中心的な活動となった。30年にはアメリカ・イリノイ州のライオンズクラブの会員が「白杖」を考案、今や世界中の視覚障がい者に使用されている。こうした流れをくんで八尾ライオンズクラブ(101人)は10月10日、八尾市立文化会館プリズムホールで、クラブ結成60周年記念事業として視覚障がい者理解教育事業「つなぐ 思いやりの心で」を開催した。

近年「多様性」の大切さが叫ばれる中、視覚障がい者とどのように接するべきかを参加された皆様に理解し実践してもらうのを目的に、社会福祉法人日本ライトハウス盲導犬訓練所の赤川芳子所長代理主幹によるセミナーを実施。「視覚障がい=何も見えない」というイメージもあるが、視野の障がいや光の加減による障がいなどさまざまであることや、白杖の使用方法と周囲との関わり方などを説明して頂いた。盲導犬の能力と不足する部分(信号の色は判別出来ないなど)に加え、交差点周辺では騒音等により聴覚からの情報を得にくいため、今信号は赤か青かといった状況を視覚障がい者に伝える手助けがとても大切であることも教わった。その後、盲導犬をテーマに作られた本事業のテーマソング「ストレートGO」を、作詞・作曲された空さやかさんに披露頂いた。盲導犬事業を開催される折にはこのテーマソングを聞き、盲導犬の優しさを感じてもらいたい。セミナーの内容はYouTubeにアップしている(「八尾ライオンズクラブ 盲導犬」で検索)。

11月11日には60周年記念チャリティー・ゴルフコンペを開催。その収益で、盲導犬候補のパピー(子犬)が商業施設で社会化訓練を行う時に着用するベストを日本ライトハウス盲導犬訓練所に寄贈した。パピーは1歳になるまでパピーウォーカーと呼ばれる一般家庭で育てられ、人間社会に順応していく。地元ではアリオ八尾とLINOAS(リノアス)の両施設がパピーの訓練を認可し、継続的に協力してくれている。大松桂右市長は、「こうした施設をもっと増やし、八尾市を障がい者に優しい街にしていきたい」と言う。

更に11月14日にはアリオ八尾で市民を対象としたセミナーを開催し、多くの方が参加した。この様子は、12月にケーブルテレビJ-COM河内の番組「アリナビ」で放送される予定だ。

新型コロナウイルスがまん延する中ではあるが、来年1月と2月に、視覚障がい者への理解を深めるための出前授業を市内小学校2校で実施予定だ。コロナ禍により人に対する優しい気持ちが忘れかけられている現状で、子どもたちの思いやりの心を育てるためにも、障がい者に対する接し方を理解することでいじめの防止にも役立つと考える。また今年12月には、市内幼稚園の園児と保護者を対象とした事業も実施予定だ。コロナ下で密を避けるために、人数を減らし、回数を増やして展開している。

これらの事業を通じ、視覚障がい者の方への理解を深めることが出来たと、多くの方から声を頂いた。思いやりと多様性を結びつける事業を実施することが出来、協力頂いた方々に感謝申し上げる。
 
2020.11更新(会長/伊藤嘉宏)