奉仕活動大阪の思い出作りに協力
梅田まち案内エスコート

大阪の思い出作りに協力 梅田まち案内エスコート
※この記事は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で取材活動が行えないことから、過去の取材記事(ライオン誌2016年11月号クラブ・リポート)に最新情報を加え再編集したものです

新型コロナウイルスの感染拡大によって最も影響を受けている業種の一つが旅行業界だろう。例えば2020年4月の訪日外国人の数は2900人。292万6000人が来日していた前年同期と比べ99.9%減という前代未聞の数字になっている。03年のSARSや08年のリーマンショックの際も世界的に国際旅行者数が減少したが、それをはるかに超えるインパクトだ。アメリカでは旅行関連事業の失業者が800万人を超えるなど、大きな打撃を受けている。

一方で徐々にだが人の移動を再開させる動きも出てきている。日本では外国人の入国規制緩和の第1弾として6月下旬、ベトナムとの往来を再開した。EUでは6月15日から域内の行き来が一部を除いて自由になるなど、状況が変わり始めている。今まで通りとはならないだろうが、人々が異文化と交流出来る生活が少しずつ戻っていくことだろう。一日も早く事態が収束し、再び訪日観光客が増加していくことが期待される。

そんな観光客にスポットを当てた活動をしているのが大阪曽根崎ライオンズクラブ(難波啓祐会長/13人)である。クラブではキタ歓楽街環境浄化推進協議会、北区社会福祉アクションプラン安心安全セーフティ隊と共に、年に6回ほど大阪梅田駅周辺で観光客の案内をする「梅田まち案内エスコート」を主催している。外国人であろうと日本人であろうと迷っている人がいれば声を掛け、目的地まで案内する事業だ。

梅田地区の鉄道駅をつなぐ梅田地下街は「梅⽥ダンジョン」の異名を持つ。「ダンジョン」は地下牢を意味し、近頃はロールプレイングゲームに登場する迷宮をこう呼んでいる。それほどに地下が入り組んでおり、日本屈指の迷子スポットとして有名な場所である。地上は地上で道が斜めに走り、背の高いビルが乱立。周辺にはJRの大阪駅と北新地駅、阪神電鉄の大阪梅田駅、阪急電鉄の大阪梅田駅、大阪メトロ御堂筋線の梅田駅、谷町線の東梅田駅、四つ橋線の西梅田駅と七つもの駅がある。23年には北梅田駅(仮称)の開業も予定されており、乗り換えるのも至難の業だ。駅を利用する人でも自分の使っている乗り換えルートしか分からないという場合も多い。特に、ギリシャ・アテネのパルテノン神殿や、イタリア・ローマのコロッセオなどの歴史的建造物と並んで「TOP 20 BUILDINGS AROUND THE WORLD(世界を代表する20の建造物)」(08年、イギリスのDK社選出)に日本で唯一選ばれた梅田スカイビルは、分かりやすいとは言えない場所にあり、知っていても案内するのは難しい。

大阪曽根崎ライオンズクラブの面々も中心となって活動に参画しているキタ歓楽街環境浄化推進協議会は、観光客をターゲットとした客引きや迷惑行為などを防止するために見回りを行っていた。これがきっかけとなり、14年に全国で初めて客引きなどを罰則付きで規制する条例が大阪市で施行されるなど、効果を上げていた。一方、見回りの最中に迷っている人から道を聞かれることが多いことも分かってきた。見回りによって客引きなどに声を掛けられるネガティブな要素を減らす活動に加え、来訪者が良い気持ちになる活動も大事。協議会副議長で大阪曽根崎ライオンズクラブ在籍の難波啓祐氏がこのように考え、「エスコート」を発案。13年4月からボランティアを集めて実施した。これが大好評。以後不定期に年間数回のペースで活動している。「道に迷っても客引きには怖くて聞けなかった」という観光客にとっては願ったりかなったり。「おかげで大阪観光を楽しめた」という声も多く聞けるようになった。ボランティアは緑色のベストを着用し、道案内をしていることが一般の人にも分かりやすくなっており、客引きやぼったくり狙いのやからも近寄ってこない。協議会やライオンズのメンバーは同時にパトロールの役割も担い、周辺の治安維持にも貢献している。

クラブや協議会ではこの活動をFacebook等で宣伝。一般の人にもボランティアで参加してもらっている。こうした活動はボランティアからも好評で、毎回のように参加してくれる人もいるという。参加者には簡単な英会話が書かれた冊子を渡し、外国人から案内を求められても応えられるようにしている。最近はECC国際外語専門学校からも多くの生徒が協力してくれている。学校で学んだ外国語を活用するまたとない機会とあって、生徒のモチベーションが非常に高いという。市内の他のライオンズクラブの面々も活動に参加してくれており、さまざまな人によって成り立っている事業だ。

毎回2時間ほどの活動の中で、100~150組を案内する。19年の記録を見ると、約4分の1が外国人。面白いのが、日本人との行き先の違いだ。外国人、日本人共にデパートや家電量販店への案内は多いが、外国人には前述のスカイビルやポケモンセンターオオサカなどの観光スポットが人気である。一方、日本人で意外と多いのが映画館や劇場への案内だ。

案内をする際は途中で再度迷わないよう、基本的には目的地まで同行する。だが、JR大阪駅の構内など、ボランティア活動の許可が下りていない場所が最短ルートに含まれている場合は同行出来ない。当初は地下街も活動不可だったが、継続していく中で許可されるようになった。また、16年からは案内時に渡す地図を製作。地図の裏側には「私は迷ってます。HELP!! I’m LOST」という文章を大きく印刷し、他の場所でも迷った時に人に話し掛けやすいよう工夫をしている。

時には情報がほとんどない状態でコインロッカーを探したり、まだ地図にも載っていない新しいライブハウスを目指したりと、難しい課題にも直面する梅田まち案内エスコート。だが、参加してくれる人からも案内をした人からも大好評で、確実に大阪のイメージアップにつながっている。今は新型コロナウイルスの感染拡大によって観光も自粛せざるを得ない状況だが、これが収束に向かい、また大阪の町に活気が戻った時には、大阪曽根崎ライオンズクラブとキタ歓楽街環境浄化推進協議会の活動は多くの人に笑顔をもたらすだろう。

2020.07更新(記事/井原一樹 写真/宮坂恵津子)
*写真は2016年9月取材時に撮影したものです