投稿リポート 営業自粛中の飲食店で
持ち帰り子ども食堂

営業自粛中の飲食店で 持ち帰り子ども食堂

宮古ライオンズクラブ(平戸新也会長/50人)は、幼稚園と小中学校の休業期間中、平戸会長が経営する飲食店の店舗を活用し、持ち帰り専用の子ども食堂を開催した。

当クラブと平戸会長は新型コロナウイルス流行の前から、市が運営する児童センターで開催されている子ども食堂の支援を続けていた。昨年8月、東京新橋ライオンズクラブから当クラブに、宮古島の子ども食堂を支援したいとの申し出があり、食材の寄贈を受けた。これをきっかけに、調理師である平戸会長は毎月、子ども食堂の調理支援を行ってきた。

しかし今年3月に入ると、感染防止対策により子ども食堂は休止になった。子どもたちが毎日在宅する今こそ、子ども食堂が必要なはず。毎日の昼食提供は、家庭によっては大きな経済的負担であるに違いない。平戸会長は折から、自身が経営する飲食店の営業自粛という苦渋の決断をしたところだったが、今なら厨房があり人手もあると、自店での子ども食堂開催を決めた。売り上げを失い苦しいのはもちろんだが、食事に困っている子どもたちのことを思うと迷いはなかった。

開催には細心の注意を払った。入店するのは代表者1人とし、列に並ぶ時は間隔を空けるよう気を配った。この取り組みを知った地元新聞社やテレビ局によって取材・報道されたことで活動は広く知られ、来店する子どもも増加。1日に提供する食事数は、当初の150食から350食へと跳ね上がった。

メンバーはそれぞれ自分に出来ることで協力した。沖縄リジョンの新山広明リジョン・チェアパーソンは支援金を寄付すると共に、毎回店頭に立って来店者の案内と整理に当たった。製麺所を経営する安元徹好会員は宮古そばを提供した。他にも複数のメンバーが寄付を寄せた。善意はライオンズクラブの外にも広がった。新聞等で取り組みを知った友人知人、それまで全く取引のなかった業者からも、カレールーや野菜、肉、旬のモズクなどが次々に届けられた。善意の輪が広がるにつれ、子どもたちに提供する献立も、定番のカレーから、モズク丼、焼きそば、クリームシチューとバラエティー豊かになっていった。

平戸会長は言う。
「自分自身が困難な時にあっても、更に苦しんでいる人に目が向けられるようになったのは、奉仕の精神を学んだライオンズクラブのおかげだ。人は危機的状況にある時にその人間性がよく現れる。クラブ・メンバーはもちろん、利害を越えて多くの人が心を寄せてくれたことに、驚きと感謝の気持ちでいっぱいだ」

休校は5月18日に解除された。それまで9回行った店舗での子ども食堂はいったん休止となった。しかし状況はまだ予断を許さず、必要になった時にはいつでも動けるよう心の準備は欠かせない。先の見えない時代の中、どのような状況にあっても、強く明るく奉仕するライオンズで在り続けたい。

2020.05更新(幹事/富山忠彦)