フォーカス糸魚川駅北大火を
紙芝居で語り継ぐ

糸魚川駅北大火を紙芝居で語り継ぐ

2016年12月22日午前10時20分頃、糸魚川駅に近い大町地区で大規模火災が発生し、147棟を焼失させました。火は、地元で「じもん風」とか「蓮華おろし」と呼ばれる強い南風にあおられて飛び火を繰り返し、鎮火まで30時間を要しました。その間、雁木造(がんぎづくり)の商店街や、360年以上の歴史を持つ酒蔵「加賀の井酒造」、多くの著名人が宿泊した「平安堂」、江戸時代から続く料亭「鶴来家」なども焼けてしまい、町並みは一変。火災現場は信じられないような光景が広がっていました。

しかし、人の記憶というのはあいまいなものです。恐ろしく、悲しかった記憶でさえ徐々に薄れ、克明に伝えていくことは時と共に難しくなっていきます。糸魚川は1911(明治44)年と28(昭和3)年にも大火に見舞われ、この二度の火災で早稲田大学校歌「都の西北」を始めとした多くの校歌や童謡「春よこい」などの作詞者として知られる相馬御風の生家も焼けています。「災害は忘れた頃にやってくる」と言いますが、まさにその通りだと思うようになりました。

私は電電公社(NTTの前身)に勤務時代、テレホンサービスを担当しており、その中で地元の民話をテレホンサービスで紹介する企画を始めました。これが1日に全国で700人以上の人が聞いてくれる大ヒットになり、以来、山間のお年寄りを訪ねて昔の伝承や民話を採話するようになりました。こうして取り上げた民話は500話近くになりますが、そのうち6話は「まんが日本昔ばなし」に採用され、全国放映もされました。

そうしたこともあり、火事の記憶を風化させず次の世代に伝えていく手段として、「糸魚川駅北大火」の紙芝居を制作することにしました。この話を糸魚川ライオンズクラブでしたところ、皆さんが賛同してくださり、クラブの「糸魚川大火紙芝居制作プロジェクト」として制作費を支援して頂きました。そして2017年11月に完成。その月の22日に開催されたクラブ例会で、完成した紙芝居を初披露しました。

紙芝居はいつも大体15~16枚で作るんですが、今回の紙芝居では私も力が入って、「糸魚川駅北大火」は25枚になっています。焼失してしまったものも含め、糸魚川の歴史を語り継いでいきたいという思いで制作しました。また、ライオンズクラブを含め、全国から多くの支援、激励を頂きました。そのため、糸魚川市外でも披露し、この教訓を伝えることが出来れば、支援への恩返しになると考えています。

現在、出来るだけ多くの方に知って頂きたいと、紙芝居を基に「糸魚川駅北大火」の絵本化を計画しています。2018年3月10日から「MOTTAINAIもっと」というクラウドファンディングで資金調達をすることになりました。よろしかったら、プロジェクトだけでもご覧になってみてください。
https://mottainai-motto.jp/project/detail/367

2018.03更新(取材・構成/鈴木秀晃 動画提供:糸魚川ライオンズクラブ)

なかむら・えみこ 1945年、京都府舞鶴市生まれ。生後半年で糸魚川に転居。地域の歴史を紙芝居などで伝える「昔かたり春よこい」代表。紙芝居グループ歴は20年になり、その間制作したオリジナル紙芝居は82作に上る。全国規模の紙芝居大会で優秀賞6回、第7回日本語大賞優秀賞などの受賞歴がある。著作に『かみしばい絵本・糸魚川西頸城の民話』『糸魚川民話の旅』。2014年糸魚川ライオンズクラブ入会。