投稿リポート LCIF交付金で
タイへ医療機器を寄贈

LCIF交付金でタイへ医療機器を寄贈

岡崎南ライオンズクラブ(太田利男会長/106人)は2019-20年度のメイン事業として、幸田ライオンズクラブ(笹野英一会長/8人)と合同で、タイ北東部のナコーンラーチャシーマー県(人口260万人)にあるパクチョンナナ病院への医療機器寄贈を計画した。同病院は国から受ける補助金を、雇用を生むための施設建設と管理費に費やさざるを得ない状況にあり、診療・治療に必要不可欠な医療器具、器材が不足し支障が出ていた。患者は診療を受けるために朝5時から並び、薬をもらうと夕方になってしまう。入院病棟の病室は大部屋で、足の踏み場も無いほど大勢の患者であふれている。更に部屋に入りきれない患者は廊下でストレッチャーに寝かされている。こうした状況を改善しようと寄贈を申し出たところ、病院で必要な機器として重症患者の診療に使う集中治療用人工呼吸器と生体情報モニターや輸液ポンプ、産婦人科の胎児超音波心音計などが挙がってきた。

しかしこれらをそろえるとなると、我々が予算として確保している1万3000ドルでは到底足りない。そこで、タイの310-E地区の地区ガバナーの提案で、同国のパクチョン・センテニアル ライオンズクラブとカオヤイ・パクチョン ライオンズクラブの協力を得て、4クラブ合同の事業として実施することになった。我々日本の2クラブが1万3000ドル、タイの2クラブが1万2000ドルを負担、これを元にLCIF人道支援マッチング交付金2万5000ドルを申請し、合計5万ドル(約550万円)で医療機器を調達することになった。

地区ガバナーを始め多くの関係者の協力でLCIFに交付金を申請、20年1月に開催されたLCIF理事会に諮られて無事承認を得ることが出来た。あとは3月の贈呈式開催に向けて医療機器の調達を進めるのみとなった。

ところが、想像しなかった大きな壁に阻まれてしまう。世界中での新型コロナウイルス感染症拡大だ。購入予定の機器は、感染症による肺炎治療、人命救助に必要不可欠なもので、急激な需要の高まりにより医療機器メーカーからの納品がかなりの延期を余儀なくされてしまった。

その後、何とか寄贈の品が整い、当初の予定より3カ月遅れ、そして残念ながら日本からの参列はかなわなかったが、6月19日に現地で立派な贈呈式が挙行された。

タイの2クラブが集めた1万2000ドルというお金の価値を、日本人の感覚で測ることは容易ではない。タイのサラリーマンの月収が約5万円という中で、たくさんの方々が200~5万バーツ(700円~17万3000円)の寄付を寄せてくださった。地元だけでなく、バンコクやタイ各地のライオンズクラブ関係者が共に協力して成し得た大事業だ。パクチョンナナ病院ではそれら全ての人々に対して病院長が感謝の意を表し表彰した。

今回の事業の前までは、LCIF人道支援マッチング交付金のハードルは高く、自分たちが申請・活用出来るとは思っていなかった。しかし多くの皆様に力添え頂き、交付金を得て目的を果たすことが出来た。ご支援・ご協力頂いた全ての方々のおかげと心から感謝している。またチャンスがあれば、このような大事業にも積極的に取り組んでいきたい。

2020.06更新(岡崎南ライオンズクラブ幹事/原孝広)